心の災害(2)
前回は、相談事例を元に「燃え尽き症候群」についてご説明させていただきましたが、今回は、その「マイナス波及効果」について書いていこうと思います。
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「ヤル気アドレナリン」が枯渇した状態、つまり「燃え尽き」状態は当人にとって、とても辛いものになります。
想像してみてください。
災害現場での「スーパーマン」から「引きこもり」へと変貌してしまった自分を。
驚きが、失望が、そして自己否定の感情、つまりは恐怖が生まれてくるかもしれません。
「自己の否定」・・・それは未来への否定にもつながる場合があり、生命レベルでの危険信号が鳴り響きます。
そこで、意識下の防衛本能が働き、
「こんなに頑張ったのに評価されない」
「仲間達は自分を理解してくれていない」
「組織が機能しないのは誰のせいだ?」
・・・など、「原因を他に探す」思考に偏りがちになり、人間関係が悪化します。
「燃え尽き」に起因した、このような
「対立と分断」が被災地で起こり、その後の復興への傷、障害となっていった事例を、筆者は数多くみてきています。
復興のために、未来のために、共に頑張っているのに、仲間達との「関係性の問題」で、つまづいてしまうのです。
災害時の「心の問題」は、「関係性の悪化」として表出し、その時に初めて認識されることが多いのが残念なところです。
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誰もが前を向こうと思いながら日々を過ごす中で、このような「心の災害」は「物理的な災害」の後に、副次的に「余波」のような形で起きてきます。
そんなものに負けない自分を信じましょう。
あの時、信頼しあった仲間を信じましょう。
「和解」それは大変な勇気と、強い未来への希望が必要とされるものでしょう。
私たちが実現したい未来を語ることを、決して諦める事なく、あなたと理解し合うことを続けていきたいのです。
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